価格
2010年05月23日
価格を磨きあげる 4 (中小企業の対応策)
先日の日経新聞に「価格を磨きあげる 3」で取り上げたげたワタミの決算速報の記事がありました。それによると、
「ワタミ、4期連続で最高益
ワタミの2010年3月期の連結経常利益は前の期比3%増の63億円だったようだ。・・・中略・・・
居酒屋などの外食事業の売上高は伸び悩んだものの、メニュー統合や人員配置の効率化を進めて費用を低減した。
不振店舗の業態転換や退店が一段落し、処理費用も減少し、純利益は25%増の32億円強だったとみられる。
・・・後略・・・」
これが、前回お話した大手がやる「根拠のある値下げ」の結果です。
凄いですよね。
値下げしながら利益をアップさせる。
では、中小零細の私たちはどうするか?
最初に結論を言うと、大手とは価格競争をしない。
別の土俵を作り上げる。
私が考える対応策のポイントは次の三つです。
1.独自性を磨く
あなたの業界での立ち位置(ユニーク・セールス・ホジション)を明確にすること。
地域や得意なことを細分化することにより、同業との違いをお客様に提示できる状態にする。
2.コミュニケーション能力を磨く
デジタル(HP、メルマガ、ブログetc)、アナログ(訪問、電話、ニュースレター、礼状etc)のツールを組み合わせて、常にお客さまに触れ、いつもよい会話をしている状態を保つこと。
また、自社の理念、こだわり、商品・サービスをちゃんと物語れること。
3.マーケティング・マインドを磨く
常にお客様の声を聞きながら、仮説 → 実行 → 検証 → 仮説というサイクルを回して商品・サービスを改良・開発し、集客に力を注いでいること。
ひとつの事例をお話します。
新潟のあるタクシー会社。
現在のタクシー業界は一般的には不況業種のひとつです。
ところが、新潟に急成長している会社があるのです。
東京佐川事件で失職した元佐川急便の常務だった人がやっている会社です。
何をして急成長しているか?
一言でいうと、宅急便のノウハウをタクシー業界に持ち込んでドライバーをセールス・ドライバーに変えてしまったのです。
重い荷物運びのため腰を悪くしたような大手運送会社のドライバーを雇い入れ、ドライバーの意識を変えて。
たとえば、病院に行くおばあちゃんをタクシーに乗せたとします。
そのとき、セールス・ドライバーはお話の中でおばあちゃんから病院に毎週何曜日に行っているとか必要な情報を聞きだして(勿論法律に触れない範囲で)、後日電話をかける。
今までは、お呼びがかかるのをただ待つだけだったタクシー業界で、こちらから声をかけ需要を掘り起こせるようにしたわけです。
これを先の3つのポイントに当てはめてみると、
1.独自性を磨く
セールス・ドライバーという独自の仕組みを作り上げている。
そしておそらくこの会社のタクシーは単に人を運ぶだけの乗り物ではなく、別の空間を提供している(実際に乗ったことがないのでわかりませんが)。
どういうことかというと、高齢者の方からすると息子くらいの世代のドライバーがフレンドリーに話しかけ親身になって話を聞いてくれる空間を提供しているということです。
2.コミュニケーション能力を磨く
この仕組みがうまくいくかどうかはセールス・ドライバーのコミュニケーション能力にかかっています。
そして、後日かける電話でも同じことが言えます。
3.マーケティング・マインドを磨く
新しいことを試みるときは、仮説をたて、実行し、データをとり、検証し、また仮説をたて・・・・というサイクルがとても大切です。
おそらくこの仕組みもお客さんの声を聞きながら、このサイクルを回して作り上げていったのではないでしょうか。
実際には、もっと細かな複数の戦略を駆使することによってこの会社は伸びているのだろうと思います。
私が考察したのは、そのほんの一部の断面のみ。
最後に、「価格を磨きあげる 1」で取り上げた松下幸之助さんのことばに戻ります。
「魂を入れた値段」。
結局、「価格とは経営者が努力を重ねた結果の魂であり、誇り」であると思います。
---事業承継、相続財産診断、遺言書作成などエステイトプランニングのことなら青野会計事務所
※エステイトプランニングとは、財産承継に関するプランニングのこと。資産を賢く残すためにアメリカでは富裕層を中心に広く行われています。---
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「ワタミ、4期連続で最高益
ワタミの2010年3月期の連結経常利益は前の期比3%増の63億円だったようだ。・・・中略・・・
居酒屋などの外食事業の売上高は伸び悩んだものの、メニュー統合や人員配置の効率化を進めて費用を低減した。
不振店舗の業態転換や退店が一段落し、処理費用も減少し、純利益は25%増の32億円強だったとみられる。
・・・後略・・・」
これが、前回お話した大手がやる「根拠のある値下げ」の結果です。
凄いですよね。
値下げしながら利益をアップさせる。
では、中小零細の私たちはどうするか?
最初に結論を言うと、大手とは価格競争をしない。
別の土俵を作り上げる。
私が考える対応策のポイントは次の三つです。
1.独自性を磨く
あなたの業界での立ち位置(ユニーク・セールス・ホジション)を明確にすること。
地域や得意なことを細分化することにより、同業との違いをお客様に提示できる状態にする。
2.コミュニケーション能力を磨く
デジタル(HP、メルマガ、ブログetc)、アナログ(訪問、電話、ニュースレター、礼状etc)のツールを組み合わせて、常にお客さまに触れ、いつもよい会話をしている状態を保つこと。
また、自社の理念、こだわり、商品・サービスをちゃんと物語れること。
3.マーケティング・マインドを磨く
常にお客様の声を聞きながら、仮説 → 実行 → 検証 → 仮説というサイクルを回して商品・サービスを改良・開発し、集客に力を注いでいること。
ひとつの事例をお話します。
新潟のあるタクシー会社。
現在のタクシー業界は一般的には不況業種のひとつです。
ところが、新潟に急成長している会社があるのです。
東京佐川事件で失職した元佐川急便の常務だった人がやっている会社です。
何をして急成長しているか?
一言でいうと、宅急便のノウハウをタクシー業界に持ち込んでドライバーをセールス・ドライバーに変えてしまったのです。
重い荷物運びのため腰を悪くしたような大手運送会社のドライバーを雇い入れ、ドライバーの意識を変えて。
たとえば、病院に行くおばあちゃんをタクシーに乗せたとします。
そのとき、セールス・ドライバーはお話の中でおばあちゃんから病院に毎週何曜日に行っているとか必要な情報を聞きだして(勿論法律に触れない範囲で)、後日電話をかける。
今までは、お呼びがかかるのをただ待つだけだったタクシー業界で、こちらから声をかけ需要を掘り起こせるようにしたわけです。
これを先の3つのポイントに当てはめてみると、
1.独自性を磨く
セールス・ドライバーという独自の仕組みを作り上げている。
そしておそらくこの会社のタクシーは単に人を運ぶだけの乗り物ではなく、別の空間を提供している(実際に乗ったことがないのでわかりませんが)。
どういうことかというと、高齢者の方からすると息子くらいの世代のドライバーがフレンドリーに話しかけ親身になって話を聞いてくれる空間を提供しているということです。
2.コミュニケーション能力を磨く
この仕組みがうまくいくかどうかはセールス・ドライバーのコミュニケーション能力にかかっています。
そして、後日かける電話でも同じことが言えます。
3.マーケティング・マインドを磨く
新しいことを試みるときは、仮説をたて、実行し、データをとり、検証し、また仮説をたて・・・・というサイクルがとても大切です。
おそらくこの仕組みもお客さんの声を聞きながら、このサイクルを回して作り上げていったのではないでしょうか。
実際には、もっと細かな複数の戦略を駆使することによってこの会社は伸びているのだろうと思います。
私が考察したのは、そのほんの一部の断面のみ。
最後に、「価格を磨きあげる 1」で取り上げた松下幸之助さんのことばに戻ります。
「魂を入れた値段」。
結局、「価格とは経営者が努力を重ねた結果の魂であり、誇り」であると思います。
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2010年05月05日
価格を磨きあげる 3 (居酒屋ワタミの事例)
今朝は「価格を磨きあげる」というテーマの第三回、根拠のある値下げの事例として居酒屋ワタミが昨年行った値下げを分析してみたいと思います。
昨年「和民」ではサントリーのモルツ生の中ジョッキを63円下げて418円としました。
利益に対するの影響額は年間で約12億円。
これをどう吸収したのか?
メニューの全面改定を行うことによりコストをカットしたのです。
1 和民と坐・和民で異なっていたメニューを統一 → 企画コスト、写真代などが半減
2 85品目のフードメニューを74品目に絞り込み → 食材数が2割減
※2の具体例
旧 ねぎま串 313円 → 新 若鶏ねぎ塩だれ 418円(増量)
「生の焼き鳥の原価のうち、鶏肉とねぎの食材費は半分。残り半分は、串のコストと具を串に通す人件費。串から外して召し上がるお客様が多く、串刺しになっていなくてもいいのではないかと考えました。熱い鉄板に載せることで冷めにくくなっています。」(ワタミ社長 桑原豊氏)
ちなみに上記の313円、418円は税込の金額です。
実際のメニューを見るとすべての品目が税抜き○99円(税込○○○円)となっていて執念というか、いかにも価格を磨き込んでいる感じがします。
大手はこんな感じで根拠のある値下げをしてきます。
では、中小零細の私たちはどうするか?
いくつかのヒントがあります。
まずひとつめ、ある電器店のおはなし。
ヤマダ電機に負けない「弱者の戦い方」―セブンとアトム、ヤマグチに学ぶNo.1企業との共存の法則
販売元:リック
発売日:2008-07
おすすめ度:
クチコミを見る
この本の中に「かかりつけの電器店」という発想が出てきます。
「大型量販店の出店が増えていく一方で、田舎の人口の過疎化とともに、地域店の過疎化もものすごい勢いで進行しています。
問題なのは、本来そこにあってしかるべき地域店までなくなっていることです。
そこに商機があると踏みました。
3,000世帯前後の商圏があれば、そこに25坪の店を出店する余地は十分にあると考えました。」(鹿児島県で家電業界に旋風を巻き起こしている異色の集団 セブンプラザ社長 山口貞利氏)
「セブンプラザの場合、近くに大型量販店があっても面倒見のよさで圧倒的な差を付けています。
価格はちょっと高くても、セブンプラザで購入してくれるお客さまがいるのはなぜか。
商品が故障したときのアフターサービスやサボート力の差があるからです。
サボート力における最大の価値は、困ったときにすぐに対応できるスピードです。
大手量販店はアフターをまったくしないというわけではなく、”遅い”ということだと思います。もしくは、われわれは”すぐにお伺いします”と言えますが、量販店は”店まで商品を持ってきてください”としか言えません。
ここに大きな差があるのです。」(山口貞利氏)
次回に続きます。
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利益に対するの影響額は年間で約12億円。
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メニューの全面改定を行うことによりコストをカットしたのです。
1 和民と坐・和民で異なっていたメニューを統一 → 企画コスト、写真代などが半減
2 85品目のフードメニューを74品目に絞り込み → 食材数が2割減
※2の具体例
旧 ねぎま串 313円 → 新 若鶏ねぎ塩だれ 418円(増量)
「生の焼き鳥の原価のうち、鶏肉とねぎの食材費は半分。残り半分は、串のコストと具を串に通す人件費。串から外して召し上がるお客様が多く、串刺しになっていなくてもいいのではないかと考えました。熱い鉄板に載せることで冷めにくくなっています。」(ワタミ社長 桑原豊氏)
ちなみに上記の313円、418円は税込の金額です。
実際のメニューを見るとすべての品目が税抜き○99円(税込○○○円)となっていて執念というか、いかにも価格を磨き込んでいる感じがします。
大手はこんな感じで根拠のある値下げをしてきます。
では、中小零細の私たちはどうするか?
いくつかのヒントがあります。
まずひとつめ、ある電器店のおはなし。
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この本の中に「かかりつけの電器店」という発想が出てきます。
「大型量販店の出店が増えていく一方で、田舎の人口の過疎化とともに、地域店の過疎化もものすごい勢いで進行しています。
問題なのは、本来そこにあってしかるべき地域店までなくなっていることです。
そこに商機があると踏みました。
3,000世帯前後の商圏があれば、そこに25坪の店を出店する余地は十分にあると考えました。」(鹿児島県で家電業界に旋風を巻き起こしている異色の集団 セブンプラザ社長 山口貞利氏)
「セブンプラザの場合、近くに大型量販店があっても面倒見のよさで圧倒的な差を付けています。
価格はちょっと高くても、セブンプラザで購入してくれるお客さまがいるのはなぜか。
商品が故障したときのアフターサービスやサボート力の差があるからです。
サボート力における最大の価値は、困ったときにすぐに対応できるスピードです。
大手量販店はアフターをまったくしないというわけではなく、”遅い”ということだと思います。もしくは、われわれは”すぐにお伺いします”と言えますが、量販店は”店まで商品を持ってきてください”としか言えません。
ここに大きな差があるのです。」(山口貞利氏)
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