経済
2010年04月11日
金融危機の本当の原因
今朝は、リーマンショック以降の金融危機の本当の原因について、以前にもブログに書いた北尾吉孝さんの「逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言」にうまくまとめられていたのでご紹介してみます。
逆境を生き抜く名経営者、先哲の箴言 (朝日新書)
著者:北尾 吉孝
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-12-11
おすすめ度:
クチコミを見る
金融危機の本当の原因=過剰流動性+過度のレバレッジ
過剰流動性とは、「あまったお金」のことです。
つまり、「世界中を回る余りに余ったお金がどこかに投資先を求めていった結果、サブプライムローンという質の悪い金融派生商品に辿り着いてしまった」ことが本当の原因というわけです。
では、なぜそれだけ大量のお金が生み出されているのか?
北尾さんはその原因を、1971年のニクソンショックにさかのぼって求めています。
”1971年、当時のニクソン大統領は金とドルの兌換停止を発表し、金の裏づけなしにドルを大量発行しはじめた。ドルは一時的に信用を失って大暴落し、変動相場制を招くことになったが、米ドルはその後も世界の基軸通貨であり続けた。金兌換をやめたことでアメリカはドルを大量に輪転機にかけ続け、その結果、世界には実体経済とかけ離れた量のマネーが流通するようになっていった。”
”世界全体の名目GDPの総計(すなわち実体経済)と、金融資産残高の総計(すなわち金融経済)の比率は、どれだけ差が開いたかと言えば、1980年に実体経済を100とした場合、金融経済は109だったのが、2007年には、実体経済100に対して金融経済359と、じつに3.6倍にまで拡大していたのだ。
実体経済の3.6倍もの金融資産が世界中に溢れているからこそ、その資金がさらなる投資先を見つけなくてはならなくなったと考えればわかりやすいだろうし、そこで回されていたお金は、いま思えば実体経済から大きく離れたバブルであったとも言える。”
私はこの文章を読んだとき、ニクソンショックというのは、それまで金兌換という鎖に繋がれていたマネーという巨大な虎のその鎖を壊してしまう行為だったのだということにようやく思い至りました。
歴史的事実は覚えていても、そのことの意味がよくわかっていなかった。
この本を読むことで「今この瞬間も、解き放たれた虎は、資本主義という制度の中で、世界中を光のスピードで駆け回っている」というイメージを得ることができました。
先日ご紹介した鈴木敏文さんをはじめとする名経営者の箴言とともに、一粒で二度おいしい本でした。
---事業承継、相続財産診断、遺言書作成などエステイトプランニングのことなら青野会計事務所
※エステイトプランニングとは、財産承継に関するプランニングのこと。資産を賢く残すためにアメリカでは富裕層を中心に広く行われています。---
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著者:北尾 吉孝
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金融危機の本当の原因=過剰流動性+過度のレバレッジ
過剰流動性とは、「あまったお金」のことです。
つまり、「世界中を回る余りに余ったお金がどこかに投資先を求めていった結果、サブプライムローンという質の悪い金融派生商品に辿り着いてしまった」ことが本当の原因というわけです。
では、なぜそれだけ大量のお金が生み出されているのか?
北尾さんはその原因を、1971年のニクソンショックにさかのぼって求めています。
”1971年、当時のニクソン大統領は金とドルの兌換停止を発表し、金の裏づけなしにドルを大量発行しはじめた。ドルは一時的に信用を失って大暴落し、変動相場制を招くことになったが、米ドルはその後も世界の基軸通貨であり続けた。金兌換をやめたことでアメリカはドルを大量に輪転機にかけ続け、その結果、世界には実体経済とかけ離れた量のマネーが流通するようになっていった。”
”世界全体の名目GDPの総計(すなわち実体経済)と、金融資産残高の総計(すなわち金融経済)の比率は、どれだけ差が開いたかと言えば、1980年に実体経済を100とした場合、金融経済は109だったのが、2007年には、実体経済100に対して金融経済359と、じつに3.6倍にまで拡大していたのだ。
実体経済の3.6倍もの金融資産が世界中に溢れているからこそ、その資金がさらなる投資先を見つけなくてはならなくなったと考えればわかりやすいだろうし、そこで回されていたお金は、いま思えば実体経済から大きく離れたバブルであったとも言える。”
私はこの文章を読んだとき、ニクソンショックというのは、それまで金兌換という鎖に繋がれていたマネーという巨大な虎のその鎖を壊してしまう行為だったのだということにようやく思い至りました。
歴史的事実は覚えていても、そのことの意味がよくわかっていなかった。
この本を読むことで「今この瞬間も、解き放たれた虎は、資本主義という制度の中で、世界中を光のスピードで駆け回っている」というイメージを得ることができました。
先日ご紹介した鈴木敏文さんをはじめとする名経営者の箴言とともに、一粒で二度おいしい本でした。
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2009年12月13日
ちょっとびっくり!! 将来推計人口
12/10〜11、大阪に出張していました。
医業・会計の研修会です。
内容は、
診療所の新規開業に係る診療圏分析やスケジュール、調剤薬局開設のポイントや診療報酬点数表の見方・考え方などでした。
どれも勉強になったのですが、その中で改めてびっくりしたのが、診療収入に関連して確認した将来推計人口でした。
将来推計人口とは、一定の前提条件を決めて、将来人口はこうなるだろうと予測した数字です。
私が見た将来推計人口の前提条件とは、
1.平均初婚年齢 (1955年生)24.9歳 → (1990年生)28.2歳
2.生涯未婚率(50歳時点)(1955年生)5.8% → (1990年生)23.5%
3.夫婦完結出生児数 (1955年生)2.16人 → (1990年生)1.70人
4.死亡仮定(2005年実績→2055年仮定) 男性 78.53年 → 83.67年 女性 85.49年 → 90.34年
5.合計特殊出生率 (1955年生)1.26人 → (1990年生)1.26人
(15〜49歳の合計)
で厚生労働省の資料を基に中位(つまり極端に多くもなく少なくもなく中くらい)の仮定になっています。
現在は(以下人口は千人単位)
2009年 総人口 127,395 0〜14歳16,763(13.2%) 15〜64歳81,644(64.1%) 65歳以上28,987(22.8%)
11年後
2020年 総人口 122,735 0〜14歳13,201(10.8%) 15〜64歳73,635(60.0%) 65歳以上35,899(29.2%)
21年後
2030年 総人口 115,224 0〜14歳11,150(9.7%) 15〜64歳67,404(58.5%) 65歳以上36,670(31.8%)
ここで経営者や後継者に対して一言アドバイスしたいのは、向こう20年間事業をやっていこうと思ったとき、65歳以上の人達に向けての商品やサービスをできるだけ早いうちに自分の事業の中に作った方がよいということです。
特にここ11年で65歳以上が700万人増える点に注目して下さい。
医療や介護の分野だけでなく、飲食業では食の好みの変化、比較的時間に余裕のある人々が増えてくることに対するサービスなど切り口を変えていろいろ考えてみてください。
それから前提条件2の生涯未婚率(50歳時点)(1955年生)5.8% → (1990年生)23.5%に着目すると65歳以上のおひとりさま向けサービスはこれから絶対伸びるはずです。
ちなみに前提条件2の生涯未婚率(50歳時点)の意味は、現在の傾向を分析して今19歳の女性(1990年生)が50歳になったとき23.5%が過去1度も結婚したことがないであろうということなのです。
つまり、4人に1人が結婚しない時代が来るということです。
少子高齢化という大きな流れは、ある程度イメージしていたのですが、改めて統計上の数字をじっくり眺めてみると、さまざまなインスピレーションが湧いてきました。
最後に蛇足を承知で一言。
この前提条件(中位の仮定)の推計の結果、条件の数値が変わらなかったとすると2500年の日本人の数は15万人。そして、3000年になると・・・・・・・・・・・。
15人です。
H.G.ウェルズの「タイムマシン」の世界のようです。
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医業・会計の研修会です。
内容は、
診療所の新規開業に係る診療圏分析やスケジュール、調剤薬局開設のポイントや診療報酬点数表の見方・考え方などでした。
どれも勉強になったのですが、その中で改めてびっくりしたのが、診療収入に関連して確認した将来推計人口でした。
将来推計人口とは、一定の前提条件を決めて、将来人口はこうなるだろうと予測した数字です。
私が見た将来推計人口の前提条件とは、
1.平均初婚年齢 (1955年生)24.9歳 → (1990年生)28.2歳
2.生涯未婚率(50歳時点)(1955年生)5.8% → (1990年生)23.5%
3.夫婦完結出生児数 (1955年生)2.16人 → (1990年生)1.70人
4.死亡仮定(2005年実績→2055年仮定) 男性 78.53年 → 83.67年 女性 85.49年 → 90.34年
5.合計特殊出生率 (1955年生)1.26人 → (1990年生)1.26人
(15〜49歳の合計)
で厚生労働省の資料を基に中位(つまり極端に多くもなく少なくもなく中くらい)の仮定になっています。
現在は(以下人口は千人単位)
2009年 総人口 127,395 0〜14歳16,763(13.2%) 15〜64歳81,644(64.1%) 65歳以上28,987(22.8%)
11年後
2020年 総人口 122,735 0〜14歳13,201(10.8%) 15〜64歳73,635(60.0%) 65歳以上35,899(29.2%)
21年後
2030年 総人口 115,224 0〜14歳11,150(9.7%) 15〜64歳67,404(58.5%) 65歳以上36,670(31.8%)
ここで経営者や後継者に対して一言アドバイスしたいのは、向こう20年間事業をやっていこうと思ったとき、65歳以上の人達に向けての商品やサービスをできるだけ早いうちに自分の事業の中に作った方がよいということです。
特にここ11年で65歳以上が700万人増える点に注目して下さい。
医療や介護の分野だけでなく、飲食業では食の好みの変化、比較的時間に余裕のある人々が増えてくることに対するサービスなど切り口を変えていろいろ考えてみてください。
それから前提条件2の生涯未婚率(50歳時点)(1955年生)5.8% → (1990年生)23.5%に着目すると65歳以上のおひとりさま向けサービスはこれから絶対伸びるはずです。
ちなみに前提条件2の生涯未婚率(50歳時点)の意味は、現在の傾向を分析して今19歳の女性(1990年生)が50歳になったとき23.5%が過去1度も結婚したことがないであろうということなのです。
つまり、4人に1人が結婚しない時代が来るということです。
少子高齢化という大きな流れは、ある程度イメージしていたのですが、改めて統計上の数字をじっくり眺めてみると、さまざまなインスピレーションが湧いてきました。
最後に蛇足を承知で一言。
この前提条件(中位の仮定)の推計の結果、条件の数値が変わらなかったとすると2500年の日本人の数は15万人。そして、3000年になると・・・・・・・・・・・。
15人です。
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2009年02月08日
「したたか消費」と「ユニクロ・スタイル」
今年のキーワードのひとつは、「したたか消費」です。
消費者は、本当に欲しいものしか買わない。
例年に増して、財布のひもが締まった状態です。
その中で快調に業績を伸ばしている企業にユニクロやニトリがあります。(私はこれらの企業の特徴を「ユニクロ・スタイル」と呼んでいます)
その秘密は、
製造小売という業態 → お得感 + デザイン + マーケティング戦略
だと思います。
製造小売とは、製造から販売まで自社で一貫管理することで、消費者の要望を商品開発に反映させ、売り筋商品を集中的に生産する業態です。
「ユニクロ・スタイル」の特徴の一番目は、お得感です。
お得感は単純に安いだけではありません。
必ずその商品やサービスが 値段 < 価値 になっていなくてはなりません。
端的なことばは、「お、ねだん以上 ニトリ」です。
二番目は、デザインです。
ここで、デザインとは、「革新的な色、形、質感」をいいます。
ユニクロの商品は、ベーシックな形に革新的な色や素材を組み合わせています。
また、店舗のデザインも、以前の「洋画のポスター」を壁に貼っておしゃれ感をだそうとしていたちょっとチープなつくりから随分洗練されてきています。
他の企業の例では、Apple社の「iPod」などがあります。
最後が、マーケティング戦略です。
テレビCMからチラシまで、ユニクロの広告は一目で「ユニクロ」とわかるように統一されています。
また、「週替わり」、「期間限定」なども上手に使いながら、消費者の来店頻度を高める努力をしています。
今、なかなかものが売れないといわれています。
しかし、売れている企業もあります。
たとえ業種が違っても、マネできるところを見つけて、貪欲に自分の事業に取り込んでいきましょう。
あなたの隣にいる同業者は、そのことに気がついていないかもしれません。
今年は、あなたの知恵が試される年です。
消費者は、本当に欲しいものしか買わない。
例年に増して、財布のひもが締まった状態です。
その中で快調に業績を伸ばしている企業にユニクロやニトリがあります。(私はこれらの企業の特徴を「ユニクロ・スタイル」と呼んでいます)
その秘密は、
製造小売という業態 → お得感 + デザイン + マーケティング戦略
だと思います。
製造小売とは、製造から販売まで自社で一貫管理することで、消費者の要望を商品開発に反映させ、売り筋商品を集中的に生産する業態です。
「ユニクロ・スタイル」の特徴の一番目は、お得感です。
お得感は単純に安いだけではありません。
必ずその商品やサービスが 値段 < 価値 になっていなくてはなりません。
端的なことばは、「お、ねだん以上 ニトリ」です。
二番目は、デザインです。
ここで、デザインとは、「革新的な色、形、質感」をいいます。
ユニクロの商品は、ベーシックな形に革新的な色や素材を組み合わせています。
また、店舗のデザインも、以前の「洋画のポスター」を壁に貼っておしゃれ感をだそうとしていたちょっとチープなつくりから随分洗練されてきています。
他の企業の例では、Apple社の「iPod」などがあります。
最後が、マーケティング戦略です。
テレビCMからチラシまで、ユニクロの広告は一目で「ユニクロ」とわかるように統一されています。
また、「週替わり」、「期間限定」なども上手に使いながら、消費者の来店頻度を高める努力をしています。
今、なかなかものが売れないといわれています。
しかし、売れている企業もあります。
たとえ業種が違っても、マネできるところを見つけて、貪欲に自分の事業に取り込んでいきましょう。
あなたの隣にいる同業者は、そのことに気がついていないかもしれません。
今年は、あなたの知恵が試される年です。
2008年10月25日
時価会計が景気の振幅を激しくするメカニズム 2
時価会計が景気の振幅を激しくするメカニズムについて少し補足します。
問題点は、時価会計が持つ負のスパイラルに入ってしまったとき(まさしく今がそうです)ブレーキがきかないということです。
現在、サブプイムローンが含まれた証券化商品は、取引の値段がつきにくい状況です。
この場合、時価会計においていくらで評価したらいいのかわかりません。
買った時の値段を100として、今が40なのか30なのか、あるいはもう0に近いのか。
ある会社の決算書にその所有する証券化商品の金額を40とのせていたときに、投資家はそれを妥当とみるのか、実際は0なのではないかとみるのか。
疑心暗鬼は市場全体を覆っています。
「バーナンキ米連邦準備理事会議長は、壊れた市場で「投げ売り」する価格は市場メカニズムに基づいた時価かと問いかけます」
いったん、時価会計の一部を凍結することにより「投げ売り」を止め、時価会計が持つ負のスパイラルにブレーキをかけることは、仕組みとして必要だと思います。
今は平時ではなく、100年に1,2回の有事です。
問題点は、時価会計が持つ負のスパイラルに入ってしまったとき(まさしく今がそうです)ブレーキがきかないということです。
現在、サブプイムローンが含まれた証券化商品は、取引の値段がつきにくい状況です。
この場合、時価会計においていくらで評価したらいいのかわかりません。
買った時の値段を100として、今が40なのか30なのか、あるいはもう0に近いのか。
ある会社の決算書にその所有する証券化商品の金額を40とのせていたときに、投資家はそれを妥当とみるのか、実際は0なのではないかとみるのか。
疑心暗鬼は市場全体を覆っています。
「バーナンキ米連邦準備理事会議長は、壊れた市場で「投げ売り」する価格は市場メカニズムに基づいた時価かと問いかけます」
いったん、時価会計の一部を凍結することにより「投げ売り」を止め、時価会計が持つ負のスパイラルにブレーキをかけることは、仕組みとして必要だと思います。
今は平時ではなく、100年に1,2回の有事です。
2008年10月24日
時価会計が景気の振幅を激しくするメカニズム
10/22のブログを見た友人から質問がありましたので、「時価会計が景気の振幅を激しくするメカニズム」について少し解説したいと思います。
時価会計では、その会社の所有する株式や不動産の時価が下がった時点で、その損失を計上します。
銀行の場合どうなるか。
銀行の所有する株式や不動産の時価が下がった → 損失の計上 → 自己資本の減少 → 法的規制(4%ルール これを守るためには、単純化していうと分子を増やす増資か分母を減らすいわゆる貸し渋りかといった対応が考えられる)を守るために貸出の絞り込み
→ 中小企業にお金が回らない → 設備投資できない、資金繰り圧迫、最悪の場合倒産
といった負の循環が続きます。
消費者はどうか。
その所有する株式の会社が時価会計により損失を計上 → その会社の株価が下がる
→ 消費マインドの冷え込み → 贅沢品は買わないなど、支出の絞り込み →
消費停滞
通常、景気の牽引役と呼ばれるものはふたつです。それは、設備投資と消費です。
会社がお金を使うか、個人がお金を使うかしないと景気はよくなりません。
そのふたつに対して「時価会計」は、マイナスに働くのです。
時価会計では、その会社の所有する株式や不動産の時価が下がった時点で、その損失を計上します。
銀行の場合どうなるか。
銀行の所有する株式や不動産の時価が下がった → 損失の計上 → 自己資本の減少 → 法的規制(4%ルール これを守るためには、単純化していうと分子を増やす増資か分母を減らすいわゆる貸し渋りかといった対応が考えられる)を守るために貸出の絞り込み
→ 中小企業にお金が回らない → 設備投資できない、資金繰り圧迫、最悪の場合倒産
といった負の循環が続きます。
消費者はどうか。
その所有する株式の会社が時価会計により損失を計上 → その会社の株価が下がる
→ 消費マインドの冷え込み → 贅沢品は買わないなど、支出の絞り込み →
消費停滞
通常、景気の牽引役と呼ばれるものはふたつです。それは、設備投資と消費です。
会社がお金を使うか、個人がお金を使うかしないと景気はよくなりません。
そのふたつに対して「時価会計」は、マイナスに働くのです。
2008年10月22日
もう一つの公的資金
10月20日の日経に「もう一つの公的資金」と題された記事がありました。
以下少し引用してみます。
「米国の金融安定化策は二転三転の末、公的資金による資本注入に踏み出した。
二千五百億ドル(約二十五兆円)で全米の銀行の自己資本は約二割底上げされる計算になるが、もう一つの「公的資金」の影響も見逃せない。
時価会計の見直しに伴う自己資本の”節約効果”だ。
米証券取引委員会の時価会計緩和策によると、金融機関は市場で取引が困難な証券化商品の価格を金融機関の裁量で定められるようになる。
欧州も早速追随。
時価会計の適用外となる資産の範囲を拡大する。
日本も検討を始めた。」
この10年間くらいの世界の会計の潮流は、「時価会計」でした。
「時価会計」とは、一言で言うと、資産の金額を「そのときに売却できるとしたらいくらになるかという金額」で帳簿にのせるということです。
「時価会計」には、大きな欠点があります。
それは、景気の振幅を必要以上に激しくするということです。
今は、世界的な金融不安の中で「時価会計」のもつ負の部分が出ています。
どの商品にサブプライムローンが組み込まれているのか。
証券化商品はどこまで下がるのか。
みんなが疑心暗鬼の中にいて、値段がつかない状態です。
この悪循環をどこかで早期に止めなくてはならない。
止血せずに、どんどん輸血(公的資金の注入)しても、命は助かりません。
今回の「時価会計」の凍結は、英断であると思います。
以下少し引用してみます。
「米国の金融安定化策は二転三転の末、公的資金による資本注入に踏み出した。
二千五百億ドル(約二十五兆円)で全米の銀行の自己資本は約二割底上げされる計算になるが、もう一つの「公的資金」の影響も見逃せない。
時価会計の見直しに伴う自己資本の”節約効果”だ。
米証券取引委員会の時価会計緩和策によると、金融機関は市場で取引が困難な証券化商品の価格を金融機関の裁量で定められるようになる。
欧州も早速追随。
時価会計の適用外となる資産の範囲を拡大する。
日本も検討を始めた。」
この10年間くらいの世界の会計の潮流は、「時価会計」でした。
「時価会計」とは、一言で言うと、資産の金額を「そのときに売却できるとしたらいくらになるかという金額」で帳簿にのせるということです。
「時価会計」には、大きな欠点があります。
それは、景気の振幅を必要以上に激しくするということです。
今は、世界的な金融不安の中で「時価会計」のもつ負の部分が出ています。
どの商品にサブプライムローンが組み込まれているのか。
証券化商品はどこまで下がるのか。
みんなが疑心暗鬼の中にいて、値段がつかない状態です。
この悪循環をどこかで早期に止めなくてはならない。
止血せずに、どんどん輸血(公的資金の注入)しても、命は助かりません。
今回の「時価会計」の凍結は、英断であると思います。
2008年10月02日
アメリカの消費と株価
世界経済が大変な状況になってきています。
サブプライムローン問題に端を発した金融不安の黒い雲が、世界中の空を覆っています。
アメリカ政府の対応は、迷走しているように見えても、90年代の日本の3倍速くらいのスピードでは進んでいっていると思います。そうだとすると、立ち直るのに4〜5年かかることになります。(このあたりの分析は、リチャード・クーさんの「日本経済を襲う二つの波」に詳しく載っています。麻生首相の政策の根拠とも言われていますので、一読をお薦めします。)
日本の場合と異なるのは、アメリカが世界の消費の中心だということです。
世界経済に与える影響が日本の場合は局地的、限定的でしたが、アメリカが風邪をひくと、新型インフルエンザのように世界中の国が寝込んでしまう点が大きく違っています。
昨日の日経の一面の「金融危機と日本経済 2」に出ていたグラフは衝撃的でした。
その「米国の消費は株価と連動性が高い」と題された「米小売売上高増減率」と「NYダウ」の関連性を見るグラフは、この2年ほどの期間みごとに同じ波形を描いていました。
ということは、アメリカの株価が良くならない限り、アメリカの消費は伸びす、世界経済もよくならない。日本経済もよくならない。ということです。
すべては、対策のスピードにかかっています。「金融機関への資本投入」と「実体経済に対しては公共投資」の二つを。どれくらいのスピードでやれるか。
スピード!!スピード!!スピード!!です。
サブプライムローン問題に端を発した金融不安の黒い雲が、世界中の空を覆っています。
アメリカ政府の対応は、迷走しているように見えても、90年代の日本の3倍速くらいのスピードでは進んでいっていると思います。そうだとすると、立ち直るのに4〜5年かかることになります。(このあたりの分析は、リチャード・クーさんの「日本経済を襲う二つの波」に詳しく載っています。麻生首相の政策の根拠とも言われていますので、一読をお薦めします。)
日本の場合と異なるのは、アメリカが世界の消費の中心だということです。
世界経済に与える影響が日本の場合は局地的、限定的でしたが、アメリカが風邪をひくと、新型インフルエンザのように世界中の国が寝込んでしまう点が大きく違っています。
昨日の日経の一面の「金融危機と日本経済 2」に出ていたグラフは衝撃的でした。
その「米国の消費は株価と連動性が高い」と題された「米小売売上高増減率」と「NYダウ」の関連性を見るグラフは、この2年ほどの期間みごとに同じ波形を描いていました。
ということは、アメリカの株価が良くならない限り、アメリカの消費は伸びす、世界経済もよくならない。日本経済もよくならない。ということです。
すべては、対策のスピードにかかっています。「金融機関への資本投入」と「実体経済に対しては公共投資」の二つを。どれくらいのスピードでやれるか。
スピード!!スピード!!スピード!!です。